今回だけは、個人的なことを書かせてください。
僕は小学4年の2学期から中学卒業まで、
ずっとイジメを受けていました。
小4の2学期に田舎の学校に転校したの
ですが、そこにクラスの「世間」を
牛耳っているガキ大将がいました。
ガキ大将は、最初は人当たりよく
僕に接してきましたが、そうして僕の
人となりを観察していたようです。
4、5日ほどしてガキ大将は、
こいつは気に食わないと判断したらしい。
ある日登校すると、ガキ大将は僕に
いきなり侮蔑的なことを言ってきました。
そして、昨日まで普通に僕と接していた
同級生の態度が一変していて、全員が
よそよそしい態度になっていました。
それからやがて、イジメが始まりました。
後に藤子不二雄Aの名作『少年時代』を
読んで、全く同じだなあと思ったものです。
一度出来上がった世間の空気は、
学年が上がっても変わりませんでした。
ある時、クラスに転校生がやって来て、
ひとりでも味方が欲しかった僕は、
できる限り彼に親切にしました。
すぐ仲良くなれて、一緒に登下校する
ようになったのですが、誰かが彼に、
「アイツと仲良くしてたら、おまえも一緒
にイジメるぞ」とでも言ったのでしょうね。
昨日、普通に仲良く別れたはずの彼が、
翌朝会ったら態度が豹変していました。
それ以降彼は、特に人前では誰よりも
キツく僕をイジメるようになり、
そうしてめでたく「世間」の一員になりました。
そしてこのイジメは、僕が高校に進学し、
小中学校の通学区という世間から
解放された途端に、嘘のように
消え失せたのでした。
この経験から、僕は「世間」が
大嫌いになりました。
高校時代、僕は「世間」の縛りから
抜け出して東京に行くことしか
考えていませんでした。
大学に進学して上京すると、今度は
「世間」に影響されない仕事として、
漫画家になることしか考えませんでした。
いま思うと恥ずかしい限りですが、
自分に漫画の才能があるのかとか、
漫画で表現したいことがあるのか
ということは、二の次でした。
それで大学卒業間際に辛うじて
「藤子不二雄賞」の佳作に
滑り込んだものの、後が続かずに
途方に暮れていたところを、
奇跡的な幸運で
小林よしのり先生に拾われたのでした。
10代前半に「昨日笑顔で別れた人が、
今朝は顔を見て逃げていく」という経験を
何度も食らってしまったトラウマで、
その頃の僕は対人恐怖症のような状態で、
マトモに人とも話せない有様だったの
ですが、よしりん先生には仕事を通して
精神的リハビリのようなことまで
していただき、そして「世間」に
左右されることなどない人間関係が
できて、おかげさまで現在の私があります。
それで、なぜこんな自分語りをしたのか
というと、私にはこういう経験があって、
その怨念が強すぎるものだから、
かつては絶賛して応援したくせに、
世間の風向きが変わったら
あっさり手の平を返して
「応援したくても応援できない」などと
言い出す卑怯者を見てしまったら、
もう虫唾の走るような思いがして、
たとえ相手が女性だろうと、
取るに足らないチンケなライターだろうと、
徹底的に辛辣な批判を加えて叩きのめして
やらなければ気が収まらないのですが、
これはもう性分になっちゃっていて
どうしようもないので、
皆さんドン引きしないでねと
言っておきたかったからです。